①走法の基本と構造
● ストライドとピッチの違い
- ストライドは「一歩でどれだけ前に進むか」を示す距離。脚が長い(または馬体が大きい)馬ほどストライドは大きくなる傾向があります。
- ピッチは「一定時間内に何歩踏むか」という回転数のことで、テンポの速さ。ピッチが速い馬は、機敏に脚を動かす短距離型が多く見られます。
- 一般的には、ストライドが大きくてピッチも速い馬が最も優秀とされますが、馬体や体力によって適性が変わります。
● 手前脚・反手前脚の注目ポイント
- 手前後肢 → 反手前前肢へと力が流れる動きが推進の要です。
- 手前脚が「前に強く出る」「前下方へ伸びる」「下方に向かう」ほど、ストライドは大きくなります。
- 特に後肢の踏み込みが深いと推進力が増し、キックバック(地面を蹴る反動)も強くなります。
● 馬場との関係(後肢の踏み込みについて)
- 良馬場のダートやタフな馬場では踏み込みが浅い方が脚が取られにくくて良い。
- 一方、水分を含んで締まったダートでは踏み込みが深く、地面をしっかり蹴る馬が好走しやすくなります。
🏇 フォームタイプ別の比較表+ピッチ・ストライド数値比較
タイプ |
ピッチ or ストライド |
前肢の動き |
特徴・適性 |
スピード持続型 |
ストライド × 掻き込み |
前方へ大きく伸ばす |
ダイナミックで直線向き。大跳びでスピード持続◎ |
高回転瞬発型 |
ピッチ × 掻き込み |
高く掻き込む |
短距離でキレる。高回転でヨーイドン勝負に強い |
低回転持続力型 |
ストライド × 捌き |
振り出し小さめ |
回転少・前脚で制動。スタミナ勝負向き |
省エネ逃げ型 |
ピッチ × 捌き |
脚は小刻み |
バテにくく、ハイペース逃げに強い |
📊 ピッチ・ストライドの数値比較
馬体重 |
ピッチ(BPM) |
ストライド(m) |
特徴と傾向 |
450kg |
147〜150 BPM |
6.8〜7.2m |
小柄で回転力があり、短距離向きの傾向 |
470kg |
145 BPM前後 |
7.0〜7.4m |
標準型。芝・ダートともにバランスよく対応可能 |
500kg |
140〜143 BPM |
7.5〜8.0m |
やや大型。ストライド走法で中距離~長距離向き |
520kg↑ |
135〜140 BPM |
8.0m以上 |
大型馬。ストライド大きく、持続力・タフさで勝負 |
② 前肢と後肢の役割と使い方
● 前肢と後肢の機能分担